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Research

   研究テーマ

(海産無脊椎動物の​系統分類学・生態学・自然史学的研究)

刺胞動物に関する系統分類・生態学的研究(現在の研究テーマ)

貝殻構造を作る刺胞動物の分類学・行動学的研究 

 私は、硬い構造物を作るイソギンチャク類の研究を進めています。このようなイソギンチャク種の多くは深海でヤドカリと共生しており、その「宿」となる貝殻構造を作っています。私はこのような「貝殻形成性イソギンチャク類」の系統分類学・行動学的研究・他種との関わりの解明を進めています。

 貝殻状構造を形成する種はイソギンチャク類としてとてもユニークです。私は、どのようにこの形質が進化したのかに興味がありますが、そもそも、分類学的研究が非常に遅れており、名前すら付けられていない種がたくさんいます。そこで私は、日本沿岸で採集された貝殻形成性イソギンチャク類の多様性を把握することを目的とし、研究を展開しています。

 近年私は、三重県熊野灘沖および静岡県駿河湾沖から得られたキンカライソギンチャク属の未記載種群標本を使って分類学的精査を行い、その中からヒメキンカライソギンチャクStylobates calciferを新種記載しました。同時に、本種の行動観察も行い、本種が海底に降り注ぐ有機物を摂餌している可能性を見出しました。

 現在は、深海から浅海まで、貝殻構造を形成しない種を含めた進化系統、種多様性や、他種との関わりの解明にむけた研究を進めています。

刺胞動物の生態学的役割の解明 

 イソギンチャク類は、海底の多大なバイオマスを占めますが、その生態的役割は未だに把握されていません。しかしながら、近年、藻場において魚類やウミガメ類などに、刺胞動物が大量に捕食されている事例が観察され始めており、イソギンチャクはこれまで考えられていた以上に、藻場の食物網で重要な役割を担っていると考えられています。そこで私は、イソギンチャク類の多様性を把握し、各種が具体的に何を食べ、何に食べられているのかを明らかにすることを目的とした、水産学や保全学への応用・展開を目指した研究を進めています。 

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図 1. ジンゴロウヤドカリと共生するヒメキンカライソギンチャク

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図 2. ヤドカリが利用する貝殻内部に共生しているヒラフネガイErgaea walshi.(ふるさと、和歌浦の干潟にて撮影, 2016年9月)

図 3. ヨコバサミ属(Clibanarius)のヤドカリ.

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